6月にスコットランドのエジンバラで開催されたIFPAカンファレンスでの発表報告です。
日本からも何人もの参加者がありました。天気にも恵まれ、リラックスしたムードの中、大変貴重な情報の発表がありました。
★Rhiannon Lewis リヤノン・ルイス
クリニカルアロマセラピスト
Essential Oil Resource コンサルタント社長、International Journal of Clinical Aromatherapyの編集者であり、長年、精油の効果についてのエビデンスのデータ・ベースを構築し、世界のアロマセラピーの推進に大きな貢献をされています。ルイス先生のフォーカスは長年、精油の化学物質としての薬理効果でしたが、近年、香りの効果について研究を深めています。嗅ぐだけによる効果が臨床研究で確認されており、その例として吐き気、不安感、痛み、禁煙、更年期障害(のぼせ)、酸素供給、禁断症状、体重低下、嚥下困難の改善などがあります。また、香りを嗅ぐ方法として“アロマ吸入スティック”がロイヤルマーズデン病院で導入されてからは、「胸ポケットに入るセラピスト」として、患者のセルフケアによるエンパワーメントに役立ってきたことを報告しました。また、香りのインパクトは心の期待度で促進されることを伝えました。アロマセラピストとして施術時に使用する精油について、あらかじめクライアントにポジティヴなイメージを伝えること。それだけで、香りの感じ方がポジティヴになり、感情面での好転が期待できるとのお話をされました。
★Angela Secretan アンジェラ・セクレタン
アロマセラピスト
エジンバラのWestern General Hospital とRoyal Infirmaryという二つの病院で補完療法コーディネーターとして長年貢献され、「病院内での精油の扱いに関して」、また、ご自身のかつどうについて発表されました。NHS Lothian Complimentary Therapy Guidelines (補完療法ガイドライン)というものに従って活動しています。ガイドラインは定期的に見直されています。その中には精油と植物油の安全な保管もあります。また、IFPA作成の「精油による有害反応報告書」(IFPA日本語ウェブサイトからも日本語版がダウンロードできます)も運用しています。ガン患者さんのケアとして、化学療法中の患者の寝汗対策となる竹の線維で作られたパジャマや皮膚の乾燥に対するクリームなどの販売、病院で働くセラピストの養成コースも行っています。
★Julie Bruton-Seal ジュリー・ブルトン・シール
メディカルハーバリスト
「Return to the Source 源への回帰 精油瓶の向こうへ」というテーマで、家の周りに自然にみられるハーブを使ったチンキやフラワーエッセンスの作り方や効果について紹介しました。ご自身のポリシーとして顧客のコンサルテーション時、顧客を庭に案内し、生きた植物に触れてもらい、帰りには庭のハーブをお持ち帰り頂くようにし、植物のエネルギーを肌で感じてもらっています。ハーブはたくさんありますが、たくさんのハーブをいっぺんに学ぶのではなく、一つの植物をとことん深く学んでから、次の植物を学ぶことを勧めています。二日目にはエジンバラの王立植物園のハーブウォークでも深い知識を参加者とシェアしてくださりました。
★Lora Cantele ローラ・カンテレ
アロマセラピスト
「ASD、ADHD児の為のアロマセラピー」と題し、このような病に対する家族の苦労や治療について、非常に詳しく説明されました。ご自身の子供もそうだからこそできるお話でした。ASDやADHDだからと言っても個人によって、身体、精神における問題の種類は様々であるので、薬を与えて終わるのではなく、パーソナルプログラムを組むことが重要であると話されました。
多くの研究や臨床での経験により、ラベンダー、レモン、ベルガモットはじめ、いくつかの精油がストレス、不安、ウツやその他の精神的症状を緩和する研究によって明らかにされている。特に目立つのは、精油の吸入により、嗅覚を通じて、脳の神経伝達物質(セロトニンやドーパミンなど)が産生され、子供のムードを制御する効果が明らかになっていると語りました。そのあと、たくさんのブレンド例とその効果を参加者とシェアしてくださいました。
★Dr. Kelly Ablard PhD ケリー・アブラード博士
アロマセラピーで使用する絶滅危惧種の植物保護に関して、アロマセラピストのアウェアネスを喚起しました。中でも、絶滅の危機にあり、また、希少になっているサンダルウッドの栽培と研究を行う会社Santanolについて紹介しました。このインエッセンスの号にその記事が詳しく報告されています。