
<8月17日(月) IFPA主催 ウェブカンファレンス2020 の開催決定!>
このたび、3月にコロナ感染拡大によって残念ながら中止となっておりましたIFPAカンファレンス in Tokyoの一日目、ウェブ視聴のパートを開催させていただくことになりました。
UKから2名、日本から3名の講演者が精油とアロマセラピーの新しい可能性を示唆する活動や最新の研究について発表いたします。
皆様の実践に活かしていただけるこの5つの発表が2週間、英語と日本語、お好きな言語を選んでいつでも視聴が出来ます。ぜひ、多くの皆様のご参加をお待ちしております。
参加費:IFPA会員 35ポンド 一般 40ポンド
視聴期間:8月17日(月)10:00 am ~ 8月31日(月)12:00 pm
言語:各発表は英語、日本語、どちらの言語でも聞いていただけます。
お申し込み方法
① IFPAの英国HP上のお申し込みとお支払いのページを開いていただき、会員の方は35ポンド、一般の方は40ポンドを選び、お名前、メールアドレスなどの詳細をご記入ください。
② クレジットカードもしくはペイパルで参加費をお支払いください。
③ 開催1週間前に視聴ページのURL及び、ログインパスワードを本部よりメールでお送りいたします。
④ 視聴期間中のお好きな時間に視聴ページを開いてパスワードを入れてください。
⑤ 視聴ページが開きます。お聞きになりたい発表者の、聞きたい言語のボタンをクリックしてください。ユーチューブの動画がスタートします。
★視聴期間中、お好きな時間に何回でも、ログインして視聴できます。
講演者詳細

佐藤 忠章(さとう ただあき) – かおり成分の吸入がもたらす効果
アロマセラピーの科学的な解明は、現在までのところ十分であるとは言い難い。植物精油の吸入について考えた場合、対象植物精油が揮発性であること、伝達経路が神経学的と薬物学的という2つ存在すること、臨床研究でプラセボの排除が困難などの理由から、アロマセラピーの科学的な解明を困難にしている。本講演では最適な研究手段として、マウスを使用した動物実験の結果を中心に報告する。アロマセラピーが科学的に解明され、医療機関においても積極的に治療目的で利用されるようになることを期待している。
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国際医療福祉大学薬学部准教授・薬学博士
アロマセラピーの科学的解明に向けて多数の基礎研究を行う日本の研究者の第一人者として、スコポラミン誘発アルツハイマー型認知症モデルマウスに対するローズマリー精油吸入による効果、ストレス存在の有無によるタイムリナロール精油の抗不安様作用の影響、植物精油の主要な成分であるα-ピネン・リモネン・リナロール・1,8-シネオールの吸入と腹腔内における脳内動態、ポリI:C誘導による脳疲労モデルマウスに対するタイムリナロール精油の抗疲労効果、ヒノキ精油吸入による主要成分α-ピネンの脳内分布と抗不安様作用などの研究を発表している。https://researchmap.jp/read0051386/
概要
アロマセラピーは、かおりの利用という観点からすると非常に広い分野で利用されている。しかし、その利用方法は過去の経験に基づくことがほとんどである。今後、アロマセラピーを積極的に健康増進に利用していくためには科学的な解明が必要であるが、現在までのところ十分であるとは言い難い。
植物精油の吸入について考えた場合、アロマセラピーの科学的な解明を困難にしている原因として以下の3つが考えられる。
1.対象となる植物精油の成分が揮発性を有していることから定量的な制御が困難である。
2.神経学的伝達による経路と薬物学的伝達による経路の2つの経路が存在するなどから作用機序の特定が困難である。
3.臨床研究におけるプラセボ効果の排除が困難である。
このような状況の中ではあるが、我々の研究グループはアロマセラピーの科学的な解明に向けた最適な研究手段として動物実験を採用した。本講演ではマウスを使用した動物実験の結果を中心に報告する。今後、アロマセラピーが科学的に解明され、医療機関においても積極的に治療目的で利用されるようになることを期待している。

デブラ・マカダム – 小児・若年者におけるメンタルヘルス問題へのアロマセラピー
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英国IFPA認定アロマセラピスト
クリニカルアロマセラピストとして20年以上の経験を持ち、後半の10年間は青少年精神健康(CAMH)分野での活動を中心に、入院患者と市民コミュニティチーム内でのケアを行っている。長年の経験をもとに、アロマセラピーをベースにスポーツマッサージ・ホットストーン・インディアンヘッド・レイキなど10種類以上の療法を組み合わせたユニークで革新的なアプローチ方法を生み出し、従来型のカウンセリング療法(言語的コミュニケーション)を補完することで、大きな成果を上げた。小児・若年者の精神的健康の症状改善と、積極的なメンタルヘルスの成果達成の為、他の様々な療法との調和をはかりながら活動することを目標としている。
概要
小児・若年者が経験することの多い心の問題に対し、アロマセラピーを用いた症例について、小児・若年者とその家族から得た質的フィードバックを通して紹介する。症例の中では、彼女が用いているアプローチ方法・関係性構築のメソッド・精油を用いたテクニックについて解説、これらがメンタルヘルスケアのニーズが非常に高い小児・若年者に対しどのように役立つのかを示している。また、精油を使用し嗅覚記憶による連想喚起などから若年者と積極的に関わることへの利点を探究する。そして、彼らの両親を治療に参加させることで、親子の関係の改善に役立つ治療室の中だけにとどまらないアロマセラピーの有効性を紹介する。本講演では、患者に合わせた評価法とケアプランの構築、実践に至るまでのプロセスを、ひとつの症例に沿って解説する。

大場健太郎(おおば けんたろう) – 懐かしい香りを用いた回想の脳メカニズム
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東北大学加齢医学研究所人間脳科学研究分野助教・博士(学術)・機能的MRIを用いた認知神経科学専門
香りによる記憶想起体験をきっかけに、「懐かしさ」研究を志す。これまで、懐かしい記憶想起の脳メカニズムや回想による心理効果の個人差についての研究に従事。近年、香りを用いた回想の脳メカニズムに関する研究を開始。特に、過去の回想が楽観性などの未来思考に与える効果に着目し、その神経基盤の解明を目指している。
概要
生物学的に嗅覚は食料の探索や危険の認知など生命活動に不可欠な役割を果たしている。ヒトではこれらの生命活動における嗅覚の依存度が相対的に低下している一方で、私たちは香りを嗅ぐことで時折「懐かしさ」を感じ過去に思いを馳せる。この懐かしさ感情は近年社会心理学の分野で精力的に研究が行われ、気分、自尊心、社会的つながりの感覚、楽観性、人生の意味付けなどを高める適応的心理効果があることが明らかにされてきた。臨床においては、懐かしさは認知症の周辺症状緩和を目的として行われている回想法で重要な要素とされている。従来、回想の手がかりとして写真や音楽などの視聴覚刺激が主に用いられてきたが、懐かしい香りを取り入れる試みも行われ始め、効果が増大することも報告されている。しかしながら香りを用いた回想法の効果検証は行われ始めたばかりであり、その効果がどのように生じるかは明らかになっていない。
本講演では、機能的MRIによって明らかにされてきた嗅覚と記憶の脳メカニズムを概観し、我々が最近行っている懐かしい香りを用いた回想の脳メカニズムに関する研究を紹介する。

コーリーン・クイン - アロマセラピーの植物化学に基づくマスターブレンディング
効果的な植物療法の秘訣は、私たちセラピストが植物化学を理解し、研究でそれを裏付けることである。化学に基づいた精油と芳香物質の調合を学ぶことは我々の務めでもある。化学成分類ごとの様々な相違点や、精油それぞれの化学的プロフィールを理解したうえで、他の精油で置き換える作業も行うことで、肉体と精神の両方に有効な植物化学的な精油の調合が可能になるだろう。本講演で、植物の化学に基づく調合アプローチに対して自信を得ていただきたい。
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英国IFPA認定アロマセラピスト・コスメティックフォーミュレーター・研究者
肌と身体の健康のケアの為に、植物由来で高機能の治療用製品を作ることを目指し、自らの知識の革新と、持続可能な農業に真剣に取り組む生産者からの最高品質の素材を求めて世界中を旅した。クリニカルアロマセラピーと補完療法においての10年の経験を基盤とし、高級アロマセラピーブランドLucy Annabella Organicsを立ち上げる際、精油を調合する際の複雑で時間のかかる計算プロセスに対する解決策を見つける必要があった。このことがきっかけとなり、アロマセラピーとテクノロジーを結びつけるプロジェクトに着手。革命的な化学に基づく植物製品のブレンディングツールLabAromaの創造へとつながった。8年経った今も、LabAromaは進化を続けており、世界最先端のアロマセラピーブレンディングツールとして、英語だけでなく複数の言語に翻訳されて世界の隅々にまで届けられている。
概要
効果的に植物療法の治療を行う秘訣は、私たちセラピストが植物化学を理解し、研究でそれを裏付けることである。この分野の最先端で興味深い仕事をする世界中の研究者・科学者・生産者から学ぶ素晴らしい機会が私たちアロマセラピストには与えられている。化学に基づいた精油と芳香物質の調合を学ぶことは我々の務めでもある。精油を治療目的で使用する際、化学に焦点を絞ることで心と身体に対し、さらに深いレベルで作用させることが可能となる。本講演で、精油の化学成分類や各化学物質をより理解しやすく、身近なものとして感じていただき、植物の化学に基づく調合アプローチに対して自信を得ていただきたい。化学成分類ごとの様々な相違点や、精油それぞれの化学的プロフィールを理解したうえで、他の精油で置き換える作業も行うことで、肉体と精神の両方に有効な植物化学的な精油の調合が可能になるだろう。

中村智美(なかむら ともみ) – 患者のスピリチュアルペインに寄り添うアロマセラピストの可能性 ~アロマセラピスト僧侶としての視点から~
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英国IFPA理事・英国IFPA/IFA認定アロマセラピスト・NPO法人日本アロマセラピー福祉サポート協会理事長・(株)木花代表取締役・真宗僧侶・修士(文学・仏教学専攻)
法名:釋 智諒(しゃく ちりょう)
1998年に英国でアロマセラピーを学ぶ。2001年から横浜ロイヤルパークホテルや産婦人科内でのサロン運営、翻訳、病院で緩和・終末期ケアと医療従事者向けの講習会を行う。2004年に母の癌闘病と看取りをきっかけに仏教と出逢い、大学・大学院で6年間仏教学を研究。自身の甲状腺がん治療や父の突然死を経験し、仏教の智慧が患者と家族の苦しみに対し何ができるのか模索しマインドフルネスを日々実践。病院と連携し、患者と家族のスピリチュアルケアを行う。
概要
近年、スピリチュアルペインという言葉は、緩和・終末期ケアの分野に限らず、様々な臨床現場で注目されている。「自分とはなんだろう」「何の為に生きてるんだろう」など、生きる意義と目的、存在の意義に対する苦しみから「魂の痛み」とも表現される。全人的苦痛(トータルペイン)である肉体的・精神的・社会的・霊的(スピリチュアル)の4つの苦しみの中で、スピリチュアルな苦しみは根源的なものと捉えることができる。アロマセラピストは、この根源的な苦しみに対し、どのように寄り添うことが出来るのだろうか。
アロマセラピーは、大きく分けて3つのアプローチを統合して心と体のケアを行っている。一つ目は、精油の有効成分や香りの嗅覚刺激。二つ目は、肌のふれあいであるタッチング。そして、三つ目は心と心の対話、コミュニケーションである。今回の講演では、三つ目のアプローチ方法である「心と心の対話」として、スピリチュアルペインに寄り添うアロマセラピストの可能性について、臨床仏教という視点から紹介。
仏教とは、病気・老い・死の苦しみや、様々な思いや避けられない出来事に対して、よりよく生きるための智慧であり、2500年の間、人から人へと伝えられ実践されながら現代に至った人間学でもある。この根源的な苦しみに対し、仏教では「今」という一瞬一瞬の体験に意識を向け、自分自身をあるがままに受け入れ、解き放つこと目的としている。臨床仏教を通して、アロマセラピスト自身のスピリチュアルペインに気づき、受け入れ、そして患者に寄り添いながら、「ともに生きる」という姿勢を取り入れてみてはいかがだろう。